いたずら電話

4/5
前へ
/32ページ
次へ
 結局放置した状態で着信が終わってしまった。ところがまた同じ番号から掛かってきた。 「げっ、また来たよ」  携帯を持った両手をテーブルの中央まで伸ばしたユキは、遥にも番号を見せた。 「出てみたら? 恋の始まりかもよ」  ユキは恐る恐る受話ボタンを押す。身体を乗り出した二人は、携帯に顔を寄せ耳を澄ました。勝手に予感した、幸せ色の第一声を期待したのだが。 「ミャ~」  あまりにも予想外の相手に、二人は顔を見合った。 「猫?」ユキが呟く。 「猫だね。猫の悪戯だな、これは」  そう言って、遥は椅子の背凭れへと身体を戻した。そして「切っとけ」と言って掌をヒラヒラと振る。
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加