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結局放置した状態で着信が終わってしまった。ところがまた同じ番号から掛かってきた。
「げっ、また来たよ」
携帯を持った両手をテーブルの中央まで伸ばしたユキは、遥にも番号を見せた。
「出てみたら? 恋の始まりかもよ」
ユキは恐る恐る受話ボタンを押す。身体を乗り出した二人は、携帯に顔を寄せ耳を澄ました。勝手に予感した、幸せ色の第一声を期待したのだが。
「ミャ~」
あまりにも予想外の相手に、二人は顔を見合った。
「猫?」ユキが呟く。
「猫だね。猫の悪戯だな、これは」
そう言って、遥は椅子の背凭れへと身体を戻した。そして「切っとけ」と言って掌をヒラヒラと振る。
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