12人が本棚に入れています
本棚に追加
「そうね…………待って! 今の聞いた?」
「え? 何を」
「今、すっごく小さな声で誰か喋ったわ」
「電話の持ち主が近くにいるんでしょ。なんて言ったの?」
「『けて』って聞こえた」
「けて? 何それけてって。受けてとか避けてとかの、けて?」
「私には、助けて……って聞こえた気がする」
「やだ、やめてよ! そういの苦手なんですけど」
「どうしよう、なんだか放っておけないよ。急に胸がザワザワする」
拳を胸に当てたユキは、携帯をじっと見つめた。
「遥ごめん! 私この人を探しに行ってくる」
「あ、ちょっ……」
携帯の通話をそのままにし、ユキはファミレスを飛び出した。
「もう! ユキってばそういうとこあるよな」
最初のコメントを投稿しよう!