ミライ

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 席に座るとクラスメートの一人が話し掛けてきた。 「ねえねえ栞。今日さぁ彼氏と港の花火に行く約束してたのにさ、急に行けなくなったって言われたのよ! あり得なくない? だからさ、二組の(さとし)を誘ったのよ。そしたらさ、孝志(たかし)もいるからもう一人連れてきてって言われたの。栞はイブどうすんの?」  どうやらダブルデートの人数合わせのための誘いだった。 「……私は……今日は、お母さんの命日だから」 「あ。そうだったね。めんど……今の忘れて!」  そのクラスメートは少し興醒めした様子で去っていき、別の子を捕まえて同じ話を始めた。 「……私が悪いことをしたみたい」  栞は俯いて、膝に掛かるスカートを強く握り締め、吐き出しそうになった気持ちを胃の奥へ押し戻した。
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