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私は江部凛子、小説を書くのが大好きな人間だ。隔週でお題のコンテストを開催してくれる小説サイトに出会い、日々お題小説を書いている。今の所皆勤賞だ、パーフェクト。素晴らしい。
だいたいはお題を見てふっとアイディアが舞い降りてくるのだが、今回のお題はこれだ。
「〇〇を呼べ!」
この一文を見た時真っ先に頭に浮かんだ。
「女将を呼べ!」
誰だお前。いや、マジ誰だっけ? えーっと、なんか料理漫画の……すごく偉い人、だったような。だめだ、中途半端なロン毛に芸術的な白髪の生え方したおっさんのビジュアルは浮かぶけど名前出てこない。それはともかく気になっていることがある。
「何であんたそんなに切れてるの」
料理が気に食わないんだったかな。そもそもこのシーンだけ動画とかネット記事で見たことあるだけで、ちゃんと物語を見たことないんだよね。世代じゃないから仕方ない。
何があった、不味いとか? だったら板長呼べよ、女将呼ぶなよ忙しいんだよ女将は接客で。いやおっさんはこの際どうでもよろしい、小説のネタにはならない、却下却下。
「板長を呼べ!!」
脳内で始まる罵倒。あ、ごめんやっぱり「女将を呼べ」の方が語呂いいかもしれない、頑張れ全国の女将。
「女将を呼べ!」
「いやもう女将はいいわ」
脳内のおっさんにツッコミを入れ、次のワードを探す。呼べ、命令してる。いや緊急事態なら口調も荒くなるか?
「警察を呼べ!」
「救急車を呼べ!」
「何で命令してんだ自分で呼びやがれ」
脳内の妄想にリアルツッコミをしてしまった。いやだって納得できないじゃん。呼んでください、ならわかる。家族や友人相手でも「呼んで!」がいい所じゃない? 呼べってなんだ、何様だ貴様。あれ、でもちょっと待って? これ、なくない?
「消防車を呼べ!」
ないな、絶対聞いたことない。火事が起きてたらこう言うはずだ。
「消防に連絡して!」
何でだ。消防車だけ何で呼んでもらえない、可哀想だろ同じ緊急車両やぞ。消防隊員さん出動無い時は敷地内の器具使って訓練してんだぞ。アラート鳴ったら一分で身支度整えて消防車ですっ飛んでいくんだぞ。
いやそれ言うなら「パトカー呼べ」とも言わないな。名指しされてる車両は救急車だけだ。何で車を呼ぶ、救急隊員を呼べ、だったらまだ……
「どうでもいい!」
思わず叫んだ。どうでもいい、本当にそれ。小説のネタにならん。
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