ナツ。

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キッチンマットを咥えて元に戻すのは意外と疲れた。 まぁ、まっすぐではないけど、さっきより良い。 『ナツー、遊ぼー!』 『ちょっと待って、ちょっと疲れた……』 『えー!なんでー!ウソついたー!』 ベッドに上って鳴きわめくアキを見下ろす。 『起きたら遊ぶから、起きたら……』 ひとつ大きなあくびをして丸くなった。 ……あぁ、落ち着く匂いだなぁ。 この匂いの中で5年間過ごした。 アキが来るまで3年間独り占めだった。 別にアキを恨んでるわけじゃない。 寂しくないように、って思って連れてきたのは分かってる。 最初は威嚇してきたアキもいつの間にかなついて。 バタバタ走り回るのは相変わらずだけど。 まだまだ子どもなんだよなぁ。 『……ナツ!……だよ…!』 なんか言ってるなぁ、うるさいなぁ、眠いのに。 『ねぇ!……ナツ!いらないの?ごはん!』 ごはんという言葉に起きてしまうオレもまだまだ子どもか。 ベッドから床に飛び降りた。
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