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ボールを小さく転がして遊んでいるアキに近寄る。
『……機嫌なおった?』
『さぁね、分かんないけど遊んでもいいよ』
アキは分かりやすいくらいテンションを上げた。
上がりすぎて毛が逆立つ。
『ちょっ、ちょっと待っててね!お水飲んでくる!』
そんなに慌てなくても……あ、いまキッチンマットですべっただろ、ズラしたら怒られるってば。
少しくらいならオレでも直せると思って一歩踏み出した時、視界がおかしいことに気づいた。
まぶしい直射日光あびたから、黒い影が見える。
『ナツ?どうしたの?』
『あー、うん、大丈夫、ちょっと強い光見たから』
『だから外見るの嫌なんだよね、明るくて落ち着かない』
暗くても落ち着いてないだろ、と心の中でツッコミを入れながらキッチンマットの角を咥えた。
『わー、重そう、歯痛そう』
誰のせいだよ、とツッコミを入れたかったけど今はキッチンマットを少しでもまっすぐにしたい。
アキはボールを自分で飛ばして追いかけて遊び始めた。
呑気なもんだな、猫だからな。
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