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細田くんの帰り道
あんなにたくさんあったプリントの山は、
2人でやれば案外速いもので、
すっかり片付いてしまった。
それじゃあまた、と瀬尾くんに声をかけて、家路を辿る。
「『キレイな顔がトラウマ』か…」
やっぱりこのメガネは正解だったと、鼻のところをクイッと指先で持ち上げる。
にしても。緊張したぁ……。
今まで、仲良くなりたくて人に近づいたこととかないし。何話していいか全然分かんなかった。
初対面で「陽キャが嫌い?」なんて、まずかったかな。人の悪口言う奴だと思われた?
早坂くんのことも。地雷だったかな…
「……明日も、話せたらいいな。」
思ったことがそのまま口に出ていた。
誰にも見られなくてよかったと思いながら、玄関のドアノブを捻る。
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