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大丈夫、彼らは決して強くはない。
ちゃんと避けて、剣を突き立てればなにも問題はない。
自分に活を入れてから、僕は大量に押し寄せてくる魔物たちに斬りかかった。
最初の数匹は僕でも倒すことが出来た。
しかし彼らはあまりにも数が多い。
すぐに四方を囲われてしまった。
逃げ場を失った僕が全方位から襲いくる魔物に絶望しかけた時、頭から血を流したアルンが王座の間に飛んできた。
「うぉぉらぁあああ!」
雄叫びを上げながら、アルンは次々と魔物を消し去っていく。
彼の戦う姿を見て、僕は両親が死んだ時のことを思い出した。
あの時も王座の間は魔物で溢れかえり、両親は僕と王冠を守って瀕死状態だった。
父の王冠を魔物が奪おうと手を伸ばした時、どこからともなく傷だらけのアルンが飛んできて魔物を蹴散らし始めたのだ。
その時、僕は初めて誰かを心の底から美しいと思った。
「陛下! 無事ですか!」
アルンは血だらけの顔で叫んだ。
「僕は大丈夫。アルンこそ、頭に怪我してるんでしょ? 無理しないで……」
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