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赤い夜が訪れた。
もうすぐこの城には大量の魔物が押し寄せるだろう。
僕は寝室にアルンを呼び出し、彼に精液をたっぷり飲ませてから戦いに行かせた。
きっとこの戦いで、兵士の大半は亡くなる。
それほど赤い夜というのは恐ろしいのだ。
僕は城の最上階にある王座で静かに両手を組んでいた。
この日ばかりはうかつにバルコニーで観戦というわけにはいかない。
ただひたすら彼らの無事と勝利を祈るだけだ。
やがて階下のほうが騒がしくなってくる。
魔物が城内まで侵入してきたのだろう。
僕は震える手で王座の横に立て掛けていた剣を手に取った。
幼い頃から剣術は習っていたが、あまり得意ではなかった。
しかし今はそんなことも言ってられない。
純金の王冠が頭にしっかりと固定されていることを確認して、僕は王座から立ち上がった。
その時にちょうど王座の間の扉がギシギシと音を立て始めた。
魔物たちが扉を突き破ろうとして体当たりしているのだ。
ついに何度めかの体当たりで扉は打ち壊された。
魔物たちは一直線に王冠を狙って走ってくる。
僕は剣を構えて何度も深呼吸をした。
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