はじめてのプレゼント

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2日ほど、眠ってばかりのおばあちゃんのそばでメソメソしていたポルですが、そうもいかなくなってきました。 お腹が空いて、喉が乾き、身体は痒くなって、今度はポルが体を壊してしまいそうだからです。 ポルは、涙をこすって、立ち上がりました。 おばあちゃんのスヤスヤ眠る顔を見て、大きく息を吸ってゆっくり吐くと、ポルは収穫用のかごをもって、玄関から外へ小さな一歩を踏み出しました。 「おばあちゃん、僕が守るからね。頑張るからね」 おばあちゃんは、いつも川岸を下って収穫に行っていました。 ポルも小さな足で川岸を歩いて下っていきます。 すると、おばあちゃんとの内緒の畑が見えてきました。 ポルはほっとしました。 僕にもひとりでできるんだと、自信にもなりました。 それからというもの、相変わらず眠ってばかりのおばあちゃんの代わりに、ポルは収穫も、お洗濯も、お散歩も、すべて一人で頑張りました。 難しかったけれど、いつもおばあちゃんを見ていたので、どれもやり方はわかっていたのです。 お芋のご飯は、固くなったりベチャベチャになったり、なかなかうまく作れなかったけれど、少しずつちょうどよくできるようになりました。 ひとりでお散歩をしているうちに、自分だけのお気に入りの場所も見つけました。 畑からさらに川岸を下って行ったところにある、青いお花のたくさん咲いたお花畑です。
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