はじめてのプレゼント

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けれど、そこに立っている女の子はちっとも怖くは見えません。むしろ、小山のうさぎさんのようで、可愛らしいのです。 「お話、わかる?」 女の子は首をかしげて、今度は心配そうな顔になりました。 ポルは、何も答えなかったことがなんだか申し訳なくなって、小さな声で答えました。 「うん」 「よかった! 私、ミーナっていうの。君の名前は?」 ミーナはまたにっこりのお顔になって、二つに結んだ髪の毛をふわふわさせながらこちらへ駆けてきました。 「僕は、ポル」 「ポル! 私たち、お友達だね!」   「お友達……?」 ポルは、俯いていた顔をゆっくりと上げていきます。 「うん! そうよ!」 ミーナはポルの手を両手で握って、ぶんぶん振りました。 ポルは、頭の端っこにおばあちゃんのお顔が浮かんだけれど、それよりも今は目の前のミーナのにっこりがうれしくて、 「お友達」と小さな声で呟きました。 初めてのお友達。 ポルは、心の中がぽわっと暖かくなりました。
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