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姫の周りでやいのやいの言ってたら、
『尚斗? 騒がしいけど誰かと一緒?』
昭彦から質問が飛んでくる。スピーカーホンに切り替えてる状態で会話を隠し通すには無理がある。姫は観念したように、
「あ、うん……委員長たちと一緒なんだ」
と、告白した。
『委員長たち? たちって……』
「よーぅ! あきピー! 太鳳さんだぜぇ!」
「志賀先輩でぇーす」
「部活、遅くまでお疲れ様」
『あれっ、彩斗? それに、大海原先輩に志賀先輩?』
電話口で昭彦が驚いたような声をあげる。
姫が普段から人とつるむことが少ないなら、この驚き方も頷ける。素直な反応が面白いのか、太鳳先輩が「にゃはは」と笑って、
「お前らどっか寄り道すんならオレっちたちもまぜてくんね?」
と言う横で、
「いまなら委員長君のお勉強指導付きだよー」
龍先輩がすかさず付け加えると、アヤが呆気に取られた顔で龍先輩を見た。自分をダシにされてるってわかっても、アヤはなにも言わないんだろうなぁ。実際なんも言えてないし。
『先輩たちいまどこにいるんですか?』
「祥縁路駅ってわかる? オレの従兄弟がやってるカフェがあってね、そこにいるのー」
祥縁路駅は学校の最寄りの浮草駅から7駅都心方面に進んだところにある比較的大きめの駅で、各方面へアクセスできるバスの路線も充実しているためか、人の行き交いが盛んだ。当然、電車は急行だって停まる。浮草駅からなら10分くらいで着けてしまう。
『カフェですか』
「そ。試験勉強するならファミレスより静かなこっちのがオススメだけど、みんなで来ない?」
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