211人が本棚に入れています
本棚に追加
午前中の授業を全て終え、昼休みだ。
俺は、生徒会の仕事をするため、生徒会室へと向かっているところだ。
生徒会室や、理事長室、風紀委員室などは教室棟にはなく、特別棟というところにある。理事長室はまだ教室棟に近いが、生徒会室はそれよりも奥なので、さっきより歩く必要がある。そして、何度も言うが、
「無駄ですね。金がかかりすぎています…」
教室棟とは違うといっても誰に聞かれるかわからない。独り言でも演技している俺は、名俳優とかになれると思うんだが。
「あれ?副会長サマやん、1人で何言ってんの?」
いきなり声をかけられ振り返ると、見覚えのない風紀委員がいた。
「あなたは…今年風紀委員になられた方でしょうか?」
「そう!オイラは西村 豪!風紀委員会で書記ばやらせてもらっとる!アンタは副会長サマやろ?」
西村豪と名乗る風紀委員はニカッと笑い、自己紹介をした。見た目はいかにもな元気小僧で、身長は俺と一緒、いや、俺より少し低いぐらいか…?黒髪の短髪で毛先が赤みがかっている。目は黒だが、風紀委員としてどうなんだ?その髪型は…いや、これより風紀乱している人がいたな…
「オイラさ〜風紀委員室さん行こうと思ってんけどな〜、迷ったとたいね…
だけん、副会長サマ!オイラに風紀委員室さん行く道ば教えてくれん?頼む!」
うん、そっか、そうだね…うん、、教えてって、言ったよな?迷ったって言ったよな?風紀委員室までの行き方を教えるのが正解なんだよな??
「風紀委員室までの行き方ですか?こちらの棟も複雑ですからね。慣れない人は迷うものです。私も慣れるまでに時間がかかりましたし」
「そうなんよ!まだ慣れとらんけん、す〜ぐ迷っとたい…んで、困っとったら副会長サマの姿が見えたけん、神の助けや!って思ってな〜。うんにゃ、女神の助け?」
よし、正解。最後余計な一言が聞こえた気がしたけども…とりあえず、風紀委員室までの行き方を教えて俺も早く生徒会室に向かわないと…
「あ!西村先輩!ここにいたんですか!すぐ迷う癖をどうにかしてください!委員長が探していましたよ!」
「お〜!かんにんな〜探してくれたんか!てことで、副会長サマ!足止めして悪かったわ!またいつかオイラと喋ってくれな!」
じゃあな〜と言いながら、西村は後輩に連れられ去っていった。
嵐みたいな奴だったな…てか、同級かよ…先輩って呼ばれているのを見て、ネクタイを確認するまで気づかなかった…
この学園はネクタイの色で学年を判別できる。青が3年生、緑が2年生、赤が1年生だ。基本的に無地だが、生徒会は違いを出すため縞模様になる。
アイツ、西村はここでは珍しく方言だったな。なおしている奴が多いんだが…
アレで情報伝達は大丈夫なのか?…ていうか、俺より身長低いくせに強いのか、風紀委員ってことは。
最近の若者は恐いな〜とか思いながら、シオンは生徒会室への廊下を急いだのだった。
最初のコメントを投稿しよう!