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目の前にあるのは、大きな扉。理事長室ほどではないが、十分すぎるほどデカい。ドアと言うより扉。まじで。
仕事への憂鬱感を感じ、小さくため息をつくとそのデカい扉を開けた。うん、重い。
生徒会室には、珍しく生徒会員全員が揃っていた。最低でも、1ヶ月ぶりではある。ただ、皆仕事をせず集まってヒソヒソと話しているようだ。
「こんにちは、珍しいですね。皆揃っているなんて」
特にサボり常習犯の会長と会計が、と付け足しながら言う。
「あれ!しーちゃん、いつの間に… えっと、聞いてた?」
動揺を隠しきれていない会計が問うてくる。他の人も同様に、慌てまくっている。どうようだけにってね。え、キモ。
「いえ、何も聞いていませんよ?
…あぁ、例の”チーム”ってやつですか」
「まぁそういうことだ」
と発言したのは会長。
「あなた方は、人の前に立つ事が多いのですから、顔に傷を残したり、前に立てない状態になる事だけは止めてくださいね」
「ああ、わかってる」
ホントにわかってんのかねぇ…
「それよりシオン、訂正するが、俺はサボっている訳ではない。この学園について会長として、自分の目で見て回っていr「ただ迷子になっているだけでしょう?」ぅ…」
なんとも言えない馬鹿さが隠しきれない彼は、この学園の生徒会長だ。名前は浅緋 紅明、名高いと言われる名家8つの内の1つ、浅緋家の跡取りだ。
名前のイメージからして”赤”のイメージが強いが、見た目は黒に近い青色の髪と目、そう、青い。
また、容姿端麗で頭も良く、運動神経も全て完璧な彼だが、1つだけ欠点がある。それは、 ”とてつもない方向音痴” だということ。そして、迷っても少しも慌てないのだ。要するに、 アホ である。
それは、去年のこと、俺は1年生で副会長になったばかりのことだが、、
〜回想〜
慣れない生徒会の仕事を終えて8時ごろに部屋に帰り着き、ご飯を食べたりお風呂に入ったりし、気づけば夜中0時を過ぎていた。
仕事の疲れでソファにぐったりしていると、各部屋に必ず設置されている緊急用の電話が鳴る。誰からだろうと疑問に思いながら、電話に出てみると、
「はい、坂本です」
「もしもし、坂本くん?もしかして起こしちゃった?」
「いえ、起きてました。大丈夫です」
「なら良かった。坂本くん、浅緋くんを知らないかい?まだ彼だけ寮に戻っていなくて…」
この寮の管理人からだった。
「外出届けも出していないようだし、生徒会の子なら誰か知ってるかと思って…」
「いえ、私にはわかりませんね…でも探すなら人手は多い方がいいでしょう。私たち生徒会も探してみます」
「ありがとうね。ホントは止めるべきだろうけど、、風紀委員には僕から伝えておくから。あと、夜は暗いからね、気をつけてね」
はい、といい電話を切る。
何やってんだよ会長。絶対後で風紀に何か言われるだろ…はぁ、
そして、真夜中の会長大捜索が始まった。
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