はじめの一歩♪明日に一歩♪

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 生徒会や職員、風紀委員など大勢で会長を探した。校舎の中も寮の中も、娯楽街にも会長はいなかった。  仕事で既に疲れていた体で走りまわっていたため、何度素に戻りかけたか。いつも寝ている人でさえ、ずっと走って探していた。  ここで普通だと、誘拐ではないのか、家出(といいより寮出?‪笑)ではないのか、と考えるだろうが、なんてったってここは王道学園だ。いいとこの坊ちゃんばかりだから、金のかけ方が違う。小動物が入ってくることさえ稀だ。それなら、この広い敷地内で迷子になったと考える方が現実的なのである。  約2時間が経ち、もう会長なんて見捨ててしまおうかと思い始める。完全に疲労で何もかもが限界だった。足が無意識に寮に戻り始めたとき、会長が見つかったとの連絡が入った。学園の敷地内にある、森の中で発見されたそうだ。  捜索してくれていた人たちには寮に戻ってもらい、生徒会や管理人、風紀委員長たちが会長が見つかったところへと向かった。  いや、なんっっで森で見つかるんだよ!?森なんて寮の真反対の方向じゃねぇか!!逆になんで迷って森に行けんだよ!!もう何年ここで生活してんだ!?  風紀委員長にこってり怒られている中、なぜ森にいたのか聞くと、 「ん、あぁ暗いなぁと思いながら歩いていたらいつの間にかあそこにいたんだ。夜の森もいいもんだな。静かでいい」  何が「あぁ暗いなぁ」だよ!「夜の森もいいもんだな」だよ!!どれほどの人が会長を探すために動いてくれたと思ってんだよ!!  はぁ、もうダメだ。バカだ、この人バカだよ、ば会長だよ… 疲れた。  その後も風紀委員長に長々と説教をくらっていた。自業自得だよな。  ちなみに俺は、その翌日仕事を大量に押し付けた。他の生徒会員もしてた。会長は、何も言わず渋々こなしてた。 〜回想終わり〜  あ〜、思い出してみたけど、今とそう変わらないなぁ…相変わらずバカのままだよ。  なんて、その時の怒りを思い出しながら、会長を見る。 「なんだシオン、ついに俺に惚れたか」  なぜその発想に至る事ができる?無理、俺は絶対に無理だわ。  演技中だから舌打ちはできない、ため息だけで全ての気持ちを出すしかない。あぁ、素を出せないのが辛い。舌打ちしたい。このイラつきを相手にもちゃんと伝わってほしい。 「そんなため息ついてたら幸せが逃げるぜ?副会長サマ」 「そうですね。自分のせいだなんて少しも思ってないようですし、ため息もつきたくなりますよ。ね、ば会長」 「そんなツンツンしてたら疲れるだけだろ。少しは素直になってみたら?」  はぁ〜キリがない。ば会長と話していてもまともな会話にならない、イライラしかしない。 「かいちょーそこまでにしなよ〜!しーちゃん怒らせたら怖いんだから〜」  会長とドンパチやってると、サボり常習犯2号が止めに入ってくる。
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