いんぽすたぁ

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 時を戻そう。  どこからかそんな声が聞こえてきた気がした。空耳通り、時を戻して立食パーティー。 「それじゃあ三日目!!立食パーティーだよ!」 「今年はいつもと少し違って〜!腕自慢の料理人VS学食のコックたち!ってことに一応なってるよ〜!」  本当は今まで通りのpartyにするつもりだったが、戻ってきたテンとアケが本気を出したことにより、この企画となった。お菓子大好き有村兄弟の力で、腕自慢の料理人たちが召喚されたのだ。 「マナーとかあまり考えずに自由に楽しんじゃおう!」 「でも、人間として当たり前のことはするんだよ〜」  最近姿をなかなか見れていなかった庶務と会計の進行で、生徒たちのテンションはほぼMAXである。  そして、最終日、立食パーティーが始まった。 「わぁ!こっちの料理美味しい!」 「僕はこっちかなぁ。こっちの方が食べやすい気がする」 「俺このお菓子好きだわ!」 「そうか!ほら俺の分もやるよ!!」 「いいのか!ありがとう!」 「ふふっ、お前の笑顔が見たいからね」 「ん?なんか言ったか?」 「いいや?何も?」 「お主、見ましたか!?新歓前までは両片思いだった二人が!手を!繋いでいたのですよ!」 「我も見ました!多分、鬼ごっこの時かと…」 「ふーむ…これは委員のみんなに報告するべきですな」 「よろしく頼んだ!」  皆それぞれで立食パーティーを楽しんでいる。  俺ら生徒会役員は他とは少し高めの所から高みの見物をしている。料理もこちらは既に準備されていて、まぁ混雑防止だ。  料理人の料理も美味いが、やはりこの学園の好みを熟知している学食の料理の方が美味しいと思う。  立食パーティーに使用している会場は、 一言で言えば”城”。だからと言って、シンデレラ城程ではない。だが、初めて見たら絶対に城だと言うと思う。それほど立派な建物が、なんと、学園の敷地内にあるのだ。金の無駄である。 「私たちも交流に行きましょうか」  今日の主役の双子が一通り食べ終わってソワソワし始めたため、そう提案してみる。 「うん!!」 「行く行く!!」  双子がいそいそと動きだそうとした時、 「おい!無視すんなよ!!」  安定していた輪を乱す者が一人。  新歓始まってから話を聞かなかったから、今回ばかりは大人しくしてると思ってたんだがなぁ…
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