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あまり転校生関係に首をつっこむのは、生徒会役員として褒められたことではない。が、今回は生徒会主催である為、何も問題はない。
人混みを分け現場に向かうと、先程の声の主である転校生と錦戸雅也が相対している。ただ、錦戸は転校生の方を少しも見ていない。
今まで逃げてたマサもついに見つかった。それにしても、マサの機嫌が悪い…。
「おい!だから無視すんなよ!」
「…」
「なんで部屋帰って来ねぇんだよ!心配してんだぞ!」
「…」
「わかったぞ!まだ喧嘩してるんだな!ダメだぞ!!そうだ!俺が相手してやるぞ!!」
「…」
ガ・ン・無・視☆
梓馬もよく挫けないよなぁ。マサも無視のスキルが高すぎる。…止めるべきか。
「折角の行事ですし、問題は起こさないでほしいのですが」
「シオン!!!」
「チッ」
えっ、何で舌打ちされたんだよ。
「俺は悪くないからな!雅也が喧嘩するのが悪いんだぞ!!」
「そうですね。私も喧嘩はよくないと思います」
「だよな!!」
「喧嘩すれば怪我もしますし手当する側にも迷惑をかけていることぐらい自覚して欲しいものですよなあにいきなり帰ってくるのもやめてほしいですし朝に帰ってくるのも迷惑ですよね服を汚すのも誰が洗うものだと思っているのでしょうかねそれに…あ、話しすぎましたね。失礼しました」
「お、おう!そうだな!」
よし、静かになった。
「しーちゃん!あっちに美味しいお菓子あったよ!!」
「行こう!あっちだよ!!あっち!」
「ん?しーちゃん何かあったの〜?」
梓馬が叫んだ時には真っ先にお菓子の元へ行っていた双子とテンが戻ってきた。ケントの姿は見えない。
「あ!ヨイとアケとテンセイじゃねぇか!!」
「「アズアズだ〜!!」」
「アズアズもお菓子とか好きでしょ〜?一緒に行こ〜!」
「ああ!いいぜ!!」
あの梓馬を回収していく手腕…ただ者じゃないぜ。じゃなくて、アイツらも気が利くな。ま、生徒会役員の名は飾り物じゃないし当然か。
「よく来ましたねマサ。梓馬も心配してるじゃないですか。喧嘩、止めたらどうです?」
「…チッ」
あーあ、ただでさえ無表情でも怖いのに眉まで寄せてしまったら凶悪だよ。
梓馬に絡まれて相当お疲れのようだ。
「もうそろそろ午前中も終わりますし、帰りましょうか」
「ああ」
スタスタと錦戸は出口へと歩いていく。特に何にも興味を向けず進んでいく背中を追いかけ、その隣に並んで歩く。
今回の行事、今更になって梓馬が騒ぎだしたのは何故だ?問題なら二日目の方が起きやすかっただろうに…いや、無事に終わった訳だし別にいいか。
「梓馬に手合わせしてもらった方がいいんじゃないか?そこら辺の雑魚よりはよっぽど強い」 「興味ないな」
「そうか、ならいい。それと、喧嘩やめてほしい話、本心だからな」
「…」
「無視すんじゃねぇ」
立食パーティー編 end.
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