すべて、ネズミ

2/17
前へ
/91ページ
次へ
 新歓を終え、生徒たちの仲も少しは深まり、生徒たちが落ち着いていくのと反比例して転校生の活動は活性化していた。  以前よりも問題を起こしている転校生。何かに疑問を感じた者もいただろうが、皆それぞれのGWをむかえた。 ーーー Circus(サーカス) side. 「ん……、んむぅ…」  目を閉じていてもわかるほどの日差しを受け、ベッドで熟睡していた意識が浮上する。 「ご飯できたよ。皆を起こしてきて」 「はぁーい!!」  元気のいい声、響く足音がしたかと思えばドアの開く音。開いたドアから部屋へと、いい匂いが広がっていく。 「ふぁ……」 「おはよう!!ご飯できてるよ〜!」 「あぁ、わかった…」  眠い目を擦りながらも、前を歩く背中について行く。とある専用の部屋に隣接する長い部屋では、既に他の皆が朝食を食べ始めていた。 「あぁ、おはよう。しっかり眠れたみたいだね」 「遅いよ。ご飯美味しいから早く食べないと、食べられちゃうよ」 「…いらないならもらう」  四人で楕円形の机を囲みご飯を食べる。机に用意された朝食はかなり美味しい。しかし、寝起きの体では半分しか食べ切れなかったため、と1人心の中で言い訳をしながら、残った分を周りに配っていく。 「いい加減朝ごはんはしっかり食べないと」 「腹減ってない」 「一日の元気がでないよ〜!」 「いや別にいい」 「だから筋肉がつかないんだよ」 「うるさい」 「…せっかく美味しいのに」 「腹はもう満たされてるの。美味しくても入らないんだよ」  皆はただでさえ普段から食べない彼の食生活を心配しているが、言われた本人は適当に流して終わるだけ。 「あー、シャワー浴びてくる」 「りょーかい」  ご飯を食べても眠気がなくならない。それなら頭から水を被った方が目が覚める。そう思って、彼はシャワーを浴びに行った。  シャワーを浴び終えて部屋に戻ると、他の皆は何やらコソコソとしている。 「何してんだ?」 「今はまだ内緒!!」 「あと一人揃ってから」 「ふーん」  詮索することに飽き、彼は部屋にあった本を出して読む。いつもは各々で何かしているはずの皆は、何かを囲み、話し合っているようだ。  本を読んだり皆と談笑したりして時間を潰していると、その最後の一人がやってくる。 「遅くなった〜!!ホントに申し訳ないっす!」 「最近時間守れてないよ〜!!」 「時間厳守」 「ほんっとごめん!その代わりしっかり情報持ってきたから!!」 「よし、じゃあ始めようか」 「…あぁ」  何かを企んでいたようで、ゴソゴソと準備し始める。準備し終わったかと思いきや、五人は一列に並ぶ。皆一様にして満面の笑みだ。 「え、何」 「俺らとGW一緒に遊ぼう!!」  一人がバッと手を広げて訴えかけてくる。 「え、嫌だよ。俺がお前らと遊ぶ理由を答えろ」 「ふっふっふ〜、じゃじゃーん!」  そう言って取り出したのは大量のタグ。一見ただのタグ(材質は良さそう)だが、彼にとっては心当たりがあるようで、、、 「で、どうしてそれが理由に?」 「これさえあればGW遊ぶことができるって。お願い聞いてくれるってきいた」 「まぁ、あながち間違いではないな」 「……それじゃあ」 「「「「団長GW一緒に遊ぼう」」」」
/91ページ

最初のコメントを投稿しよう!

212人が本棚に入れています
本棚に追加