211人が本棚に入れています
本棚に追加
ーーー
スペードの下っ端 side.
GWならサーカスも動くはずだとリーダーが言っていた。皆リーダーが大好きだ。だから、リーダーのためにサーカスを探しまわっている。
スペードは先輩後輩などはなく、実力主義だ。今のリーダーだって、実力でリーダーをしている。だからこそ、強さを求める俺らにとっては憧れで尊敬で、、、
「なぁ、スペードのたまり場ってここなのか?」
「あぁそうだ。お前ら新入りか」
「そう。俺ら本当は市外だけど、ここのチームがヤバいって聞いて仲間になりたいと思ってな」
「そうなのか。歓迎するぜ」
「ありがとう」
スペードは評判がいい。月に1、2回ぐらいの頻度で新しいチームが入ってくる。おかげでまだ顔を覚えていないやつも多いし、見慣れない顔があっても違和感がない。リーダーは所属チーム皆の顔を覚えているって話だが…
「また新入りが来たのか。スペードも大きくなっていくな」
「そうだな。我らがリーダーは俺らと歳が変わらないと感じないくらい器がでかいよな」
「顔を見たことなくても、この青いリストバンドでここ所属か見分けられるけどね」
新入りと入れ替わりで俺の元に来た彼は、そう言って手首を指さしてくる。
俺や彼の腕にはスペードの所属を示す青いリストバンドがはめてある。このリストバンドは幹部から渡される。リストバンドにしては質がいいからきっと良いとこのやつだ。幹部は皆坊っちゃんだという噂は本当なんだろう。
「おい!あっちの方で喧嘩やってるぞ!」
いきなり聞こえてきた声に、野次馬根性が半端じゃない奴らは真っ先に走って行く。ま、俺らも例外じゃないけど。
「喧嘩か、どうせまたハートだろ」
「ハートが売ってきたんだろうな〜」
「…見に行くだろ?」
「当たり前」
好奇心に勝てる者などいるだろうか。猫をも殺す?知らないね。
道路の方に人集りができている。中心で喧嘩しているのは、片方はスペードでもう片方は赤いチェーンをつけていることから、ハートの奴だとわかる。
「くそっ。ちょこまかしやがって!」
スペードの方がやや勝っているようだ。スペードの奴は小柄で動きが速いため、ハートの奴がなかなか攻撃を当てられない。
「ほぉ〜やってんねぇ」
「なかなかレベル高くねぇか?」
野次馬のテンションも上がってきた。
「いいぞぉ!」
「やれぇ!!!」
逃げていたスペードの奴も反撃し始め、かなり盛り上がってきたとき、野次馬の一部がざわざわとし始めた。
「なんだ?」
野次馬共が道を開けるとそこには、
「お前ら!!こんなところですんじゃねぇ!邪魔になってるだろうが!」
我らがリーダーがいた。
最初のコメントを投稿しよう!