すべて、ネズミ

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二日目。  二日目もまた、ハートとの喧嘩が多発している。ただ、昨日と違うのは全てスペードから喧嘩を売っているということだ。そして、誰も実際に喧嘩している様子を見ていない。ハートの屍が見つかってやっと喧嘩があったのだとわかる。 「よぉ、今日もいろいろあってるみたいだな」 「あぁ昨日に続いて喧嘩ばかりみたいだ。それも今日は痕跡しか残ってないし」 「GWでエンジョイしてんのかねぇ」  でも、 「なーんか引っかかるんだよなぁ」 「何に?」 「ホントに昨日と同じ奴だと思うか…?」 「俺らが昨日見た、小柄のやつか?」 「そう。昨日のやつは、あんなにも堂々としていただろ?なのに、今日のやつは一切姿を見せない、何かおかしくねぇか?」 「そうかぁ?単に追いかけまわされるのが嫌になっただけじゃねぇの?けど喧嘩はしたい、みたいな?」 「うーん、そんなもんかなぁ」 「そーそ考えすぎ」  そう言われればそんな気もしてくる。GWで羽目を外すやつらなんて沢山いる。今回はたまたま無名で、珍しかっただけで、時の人になってるだけ。  …そう自分に言い聞かせても変な胸騒ぎがする。何か大変なことが起きるかもしれない。が、彼のアドバイス通り、考えすぎないようにした。 ーーー Falcon side.  アジトにいるリーダーはGWが始まってからずっとイライラしている。もちろん、今スペード全体で話題になっている、無名の少年についてだ。 「昨日はまだ買っているばかりだったから良かったが、今日は売ってばかりだと…!?あぁ、くそっ!!」 「リ、リーダー、落ち着いて〜…」 「そ、そーだよ!」 「せ、せっかくのGWだし!」 「「遊ぼうよ!!」」  どうにかしてリーダーのイライラを抑えようとする。が、なかなかおさまりそうにない。 「せっかく出張でのストレスを発散しようと思ったんだが、意味なかったな。くそっ、これじゃ何のために来たんだか…」 「り、だー、口、悪い。サーカス、探しに、きた、でしょ?」 「「そうだよ!!僕たちに当たらないで!!」」 「仮にも浅緋家の者なんだからさ〜言葉使いどーにかしなよ〜!かいちょー」  チームで二番目に強い辰川がリーダーを批判する。それに乗っかり、他のメンバーもリーダーへの不満を発する。その時、 「リーダー!ハートの者がリーダーと話をしたいとのことです!」  来たか ーーーーーーー 短ぇ
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