すべて、ネズミ

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Falcon side.  シュウに言われた廃工場へと来てみると、呼び出した本人の姿はなく、中では誰かが喧嘩しているようだ。 「あ?どういうことだ」 「え…、ちょっとよく見てみてよ」  メンバーにそう促され中をよく見てみると、奥の方に四人、そこから少し離れた位置に一人、そして喧嘩している二人。喧嘩はかなり一方的で、圧倒している方には、俺でさえも勝つのは難しいだろう。 「…」 「すごぉい…」 「「ゴクッ」」  驚きのあまり見入ってしまっている俺らに、離れた位置にいた一人が近づいてくる。身構えると、ソイツは口を開いた。 「よかった〜!君たち来てくれた〜!このまま来なかったらどうしようと思ってたトコだったよ」  本心が見えない話し方、俺たちが来ることを知っていた人物、そしてこの声…。電話越しでさんざん聞いたんだ。間違えることはない。 「お前、シュウだな」 「そうだよそうだよ!だいせいか〜い♪」 「これは…どういうことだ…?」  シュウは、より一層笑みを深めた、ように見えた。人影しかわからない中、見えるハズはない、が、本当にそう見えた気がした。 「今は団長のストレス発散中さ!だから、ジャマ、しないでね??」 「団長だって!?」 「そそ!君らが血眼になって探しても見つからない、ピエロさま♡」  シュウが言い終える前に、俺らの体は動きだす。が、シュウは素早く俺らの目の前へと立ちはだかる。 「ねぇ、ジャマしないでって言ったよね?」 「お前が依頼のために俺たちを呼んだんだろ?そこをどけろ」 「はぁ〜〜。ごめんだけど、その依頼は断ったはずでしょ〜?会わせるために呼んだわけじゃないんだけど」  クソ…こうなったら、力ずくでも__ 「…喧嘩か?」 「俺らも混ぜろよ」 「ちょっとシュウ何そいつら!あ、もしかして〜追加?」 「いや、明らかに通さないようにしてるだろ?追加じゃなさそう」 「なんか、見たことある顔ぶれだね」 「シュウ新入りのくせに何してんのー??」  奥にいたはずの人影たちがいつの間にかシュウの後ろに立っていた。  いつも通りの揃いのパーカーにリボン、目深にかぶったフード。団長のピエロがいない間も時おり見ていたサーカスの団員たちが、今目の前に揃っていた。
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