すべて、ネズミ

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Circus(サーカス) side. 「ん…、」  目を閉じていてもわかるほどの日差しを受け、ベッドで熟睡していた意識が浮上する。 「ふぁぁ…」  普段の生活じゃ得られない、快適な目覚めを噛み締めていると少し伸びた髪が少年(ピエロ)の目にかかる。グレーに近い髪色は、朝日を浴びてキラキラと白く輝いている。 「だーんちょー!おき…、あ!起きてた!おはよ〜!!」 「はよー」  いつものようにトラが起こしにくる。トラが開けたドアから入ってくる朝食の匂いに、少年(ピエロ)は食欲がそそられる。 「テキー!団長起きてたー!」  トラと少年(ピエロ)が部屋に入ると、テキとシシが朝食の準備をほとんど終わらせていた。キサは…未だに船を漕いでいて起きているかすらも怪しい。 「あ、おはよう団長。ご飯はできてるから座って座って」 「団長おはよう」 「…はよ」 「おー」 「早く食べよー!お腹空いたよ!」  朝にしてはやけに高いテンションのトラの一声で、皆で朝食を食べ始める。 「トラ、もっと落ち着け」 「ん〜!おいしー!」 「mgmg…Zzz」 「キサ、食べるか寝るかどちらかにしよう」  相変わらずのにぎやかさ。 「ごちそうさま」 「あ!団長がちゃんと食べてるー!!」 「えー、珍しい」 「いつもしっかり食べてほしいけどね」 「…偉い」  そう口々に言われた少年は自分でも少し驚いていた。無意識のうちに自分の分のほとんどを食べていたようだ。  全員朝食を食べ終えた後は、それぞれで過ごす。いつもと違うのは、皆が共有スペースにいることぐらいだ。 「今日はシュウは来ないのか?」 「いや?来るはずだけど…何かあったかな?」 「シュウ弱いからねー!ボコボコにされてるかも??」 「でもアイツ顔出ししてないだろ?…ま、いいや。アイツなら死んでも死なないだろw」 「…それもそう」  …噂をすればなんとやら。  バタン! 「ちわーす!」 「「あ、生きてた」」 「無傷ということは、何もなかったみたいだな」 「…残念」 「ちょ、どゆこと!?どゆことですかね!?無傷で残念とか!?」 「「「…」」」 「無視!?」  なんて、てんやわんやしている内に昼になる。朝と違ってシュウも混ざって昼食をとる。一人増えるだけでも、騒がしさが一段とパワーアップする。 「ねぇ、シュウってどこの学校行ってるのー?」 「あ〜、城崎学園すね」 「すごいな…」 「え〜、金持ち学校ってどんな感じなんだろ〜?」 「トラさんたちとあんまり変わらないと思うすけど…」 「え、殺し合いしてんのー?やば、跡取り死ぬじゃん!」 「あ、あ〜、そういえばヤバいとこ行ってるんでしたっけ…さすがにそこまでヤバくはないすけど、制裁とかはありますよ」 「へぇ〜!楽しそう!俺行ってみたい!」 「俺も。前見れなかった、金持ち校の中身を見てみたい」 「俺も興味あるな〜知り合いの所とは言え、よく知らないし、、」 「…気になる」 「いやいや、うちの転入試験ホントに難しいんで!気軽に来れるもんだと思わないでほしいすね!」  わいわいしてると思ったら、そのまま皆でシュウをいじる動きへと変わっていった。午後からもだべって過ごし、その後は明日から始まる学校に備え、少し早く解散した。 (今年のGWは、とても楽しかった。それもこれも皆のおかげかな。あ〜あ。    また、眠れない日々に戻るのか。)  少年はまた1人、憂鬱になった。 Circus(サーカス) side end.
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