211人が本棚に入れています
本棚に追加
Circus side.
「ん…、」
目を閉じていてもわかるほどの日差しを受け、ベッドで熟睡していた意識が浮上する。
「ふぁぁ…」
普段の生活じゃ得られない、快適な目覚めを噛み締めていると少し伸びた髪が少年の目にかかる。グレーに近い髪色は、朝日を浴びてキラキラと白く輝いている。
「だーんちょー!おき…、あ!起きてた!おはよ〜!!」
「はよー」
いつものようにトラが起こしにくる。トラが開けたドアから入ってくる朝食の匂いに、少年は食欲がそそられる。
「テキー!団長起きてたー!」
トラと少年が部屋に入ると、テキとシシが朝食の準備をほとんど終わらせていた。キサは…未だに船を漕いでいて起きているかすらも怪しい。
「あ、おはよう団長。ご飯はできてるから座って座って」
「団長おはよう」
「…はよ」
「おー」
「早く食べよー!お腹空いたよ!」
朝にしてはやけに高いテンションのトラの一声で、皆で朝食を食べ始める。
「トラ、もっと落ち着け」
「ん〜!おいしー!」
「mgmg…Zzz」
「キサ、食べるか寝るかどちらかにしよう」
相変わらずのにぎやかさ。
「ごちそうさま」
「あ!団長がちゃんと食べてるー!!」
「えー、珍しい」
「いつもしっかり食べてほしいけどね」
「…偉い」
そう口々に言われた少年は自分でも少し驚いていた。無意識のうちに自分の分のほとんどを食べていたようだ。
全員朝食を食べ終えた後は、それぞれで過ごす。いつもと違うのは、皆が共有スペースにいることぐらいだ。
「今日はシュウは来ないのか?」
「いや?来るはずだけど…何かあったかな?」
「シュウ弱いからねー!ボコボコにされてるかも??」
「でもアイツ顔出ししてないだろ?…ま、いいや。アイツなら死んでも死なないだろw」
「…それもそう」
…噂をすればなんとやら。
バタン!
「ちわーす!」
「「あ、生きてた」」
「無傷ということは、何もなかったみたいだな」
「…残念」
「ちょ、どゆこと!?どゆことですかね!?無傷で残念とか!?」
「「「…」」」
「無視!?」
なんて、てんやわんやしている内に昼になる。朝と違ってシュウも混ざって昼食をとる。一人増えるだけでも、騒がしさが一段とパワーアップする。
「ねぇ、シュウってどこの学校行ってるのー?」
「あ〜、城崎学園すね」
「すごいな…」
「え〜、金持ち学校ってどんな感じなんだろ〜?」
「トラさんたちとあんまり変わらないと思うすけど…」
「え、殺し合いしてんのー?やば、跡取り死ぬじゃん!」
「あ、あ〜、そういえばヤバいとこ行ってるんでしたっけ…さすがにそこまでヤバくはないすけど、制裁とかはありますよ」
「へぇ〜!楽しそう!俺行ってみたい!」
「俺も。前見れなかった、金持ち校の中身を見てみたい」
「俺も興味あるな〜知り合いの所とは言え、よく知らないし、、」
「…気になる」
「いやいや、うちの転入試験ホントに難しいんで!気軽に来れるもんだと思わないでほしいすね!」
わいわいしてると思ったら、そのまま皆でシュウをいじる動きへと変わっていった。午後からもだべって過ごし、その後は明日から始まる学校に備え、少し早く解散した。
(今年のGWは、とても楽しかった。それもこれも皆のおかげかな。あ〜あ。
また、眠れない日々に戻るのか。)
少年はまた1人、憂鬱になった。
Circus side end.
最初のコメントを投稿しよう!