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テストに向けて、俺もいつもより勉強に力を入れなければならない。一度得たものを簡単には手放したくないのは、人間の性のようなものだろう。一位なんて譲ってやるものか。
授業をする教師の声。真剣に聴きながらペンを走らせる生徒に、部活や勉強の疲れのせいかウトウトとしている生徒。
後ろの席だから、クラスの様子がよくわかる。あぁ、そうか、こんなに落ち着いて授業を受けるのは久しぶりだったな。あんな忙しかった中、無事新歓を終えれたのは本当に良かったと思う。
そういえば、双子も会計もいきなり戻ってきたよな。仕事を放るぐらいの執着なら、簡単に帰っては来ないだろうと思っていたんだけどな…。でも、、連れ戻しに行く手間が省けたおかげで、予定より早く仕事が進んだのは良い誤算だった。
「ーーーが、〜〜からして、ここが___」
テストも近いワケだし、仕事を少し楽してもいいんじゃなかろうか。アイツら授業聴くだけで大丈夫なんだろうが、こちとら血の滲む努力で成り上がってんだ。何も分からないとこから勉強して、ここに来てからずっとトップ維持してんだ。はぁ、、、
そう言えば、勉強会ってどこでするんだ?図書室、は、アイツが静かにできるかが自信ないから却下だな。あそこほど勉強しやすい所はないんだが…。だからと言って、他にできるとこかぁ〜。う〜ん……
「んで、〜〜〜となるわけだ。じゃあこの問題を、そうだな、坂本!」
じゃあ、どっちかの部屋?でも向こうは同室者の都合があるだろうし、俺の部屋はまだマサが居候してるし…。アイツも巻き込んでしますか?ふむ、、それもそれでアリだな。
「お〜い、坂本?」
でもマサのことだし、嫌がるだろうなぁw
うーん。やっぱり、お互い素を出せる空間がいいよなぁ。いつも気を張ってるんだから、勉強中ぐらい演技を忘れたい。
「さ、坂本?無視するほど嫌か?嫌なのか?頼むよぉ…無視だけはやめてくれぇ…」
まぁいいか、俺の部屋で。仕事の書類ばかりで勉強に使える資料とか全然ないから、結局は図書室も寄った方がいいな。よし、行く前に少し寄るかぁ。
「ごめんって、坂本ぉ…グスン」
「おい、坂本。当てられてるぞ」
「えっ!あ、すみません。少し考え事してしまって…」
やっべぇ、気づかなかった。近くの席のやつに言われるまで気づかないとは、、まずいな、全然集中できてねぇ。
「坂本は生徒会も忙しいからな。授業中ぼーっとするのは、まあ、仕方ないにしても、無理だけなするなよー」
「はい、すみません」
勉強会のことは後でミツキと話し合おう。今は授業に集中!よし!
ーーー
「珍しいね〜!シオンが授業中に考え事だなんて」
「色んなことを考えてた末に、勉強会の場所はどこでしようか、と」
授業が終わり、ミツキが俺の席まで来てすぐに聞いてきた。
「それで、どこに行き着いたの?」
「まぁ、今のところ私の部屋が妥当ですかね」
「あ〜、でも、マサって今そっちに居候してるんだっけ?それなら、あまり新居を踏み荒らしたくないなぁ」
「新居とかやめてくれません?じゃあ、他にどこがいいですかね?」
「ん〜、僕の部屋でいいよ」
「でも、同室者の方に迷惑じゃないでしょうか?」
「大丈夫とは思うけど、一応確認してみるよ。じゃあ、授業始まるから戻るね」
…アイツ、少し素が出てきたよな。最近。
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