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ミツキの同室者からの許可は出たらしいが、流石に掃除などもろもろしたい事があるということで、明日からとなった。今日は、とりあえず図書室で勉強をすることに。
「おっ昼〜!シ〜オン!一緒に食堂行こ♪」
「嫌ですよ。お昼ぐらいは落ち着いた所で食べさせてください」
「ちぇ〜…じゃあいいもん。他の人誘って行くも〜ん」
「いい年して語尾にもんは流石に…」
「も〜うるさい!」
ミツキはプリプリと怒りながら、別の人を誘いに行った。誘われたがっているガチムチは大量にいるが、未だ誘われている様子を見たことはない。ま、当たり前か。
それじゃあ俺は落ち着いて昼食を食べれる場所を探すとしますか。
どこもかしこも人ばかり。やっぱりこの学園は人が多すぎる。中々落ち着けそうな場所が見つからない。あの、道の向こうにある森に行けば静かだろうが、あんな所に一人で行く方が危険だ。それに、よくないことが起きてる場所も、あの森である。近づかないのが常識的な考えだ。
「待たんかいおらぁ〜!!」
そんな森の中から元気の良い声と共に走って来るのは、黒いような茶色いような猫と、何時かに見た風紀の少年、西村。所々にあるかすり傷から察するに、森の中をずっと走り回っていたようだ。
「待てや猫〜!!なんでここに入ってきとんのじゃ〜!!」
猫と西村がこちらに向かって走ってくる。
「あ!そこにおっとは副会長サマ!そん猫ば、捕まえてくれんどか!!」
え、捕まえようとしたら絶対噛んでくるだろ。絶対に嫌だ。
と、思っているシオンに向かって猫は一直線に走って行く。シオンの思いを知ってか知らずか、猫は直前で止まりじっと見上げたかと思えば、シオンの脚にすり寄っていく。
「え」
「あ〜!副会長サマ!そんまま!そんままじっとしとって!!」
西村がそーっと近づいても逃げようとしない。しかし、手を出そうとすると猫は威嚇をし始める。
「なんと言うか…かなり、嫌われてますね」
「うっ、、そうなんよ…。なんでなんやろ〜。やっぱ、追っかけ回したのがいかんかったとか?ん〜でも連れて帰らな……そうだ!副会長サマ!副会長サマなら多分いける!」
「そ、そうですかね…」
と言いながら、シオンは恐る恐る手を出してみる。先程の対西村の時と違い、猫はシオンの手に擦り寄ってくる。
え、何コイツ。可愛いんだけど…。
「よし、じゃあそのまんま抱っこして、連れてってほしいわ!オイラも一緒に行くで!」
「え、いや、でも、私、お昼まだですし…」
それに、風紀にはあの人がいるんだよなぁ……。嫌だ。俺は会いたくない。
「じゃあ、風紀室で食べて良かけん!頼む!連れてってや!!」
くっ…。こんなワンコっぽい奴からの願いを断れるわけないだろ。風紀室に行くからといって、必ずしも会うとは限らない。俺が行った時、偶然いないかもしれない。よし、うん、よし…。
「わかりました。でも、お昼は別の所でとりますので、ご心配なく」
「ありがとー!副会長サマ」
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