キューピー30分クッキング

6/14
前へ
/91ページ
次へ
「ただいま戻りましたぁ!猫ちゃん無事確保してきましたぁ!!」  バン!!!と、西村はドアを勢いよく開ける。主人を見つけた飼い犬のように走っていく西村に続き、俺も猫を抱いたまま入っていく。 「西村、ノックもせずにドアを勢いよく開けるな。あと室内では緊急以外、極力走らないようにしろ」 「あ、す、すみません!」  委員長が不機嫌なこと忘れてたのか?にしては、前と違って敬語で話しかけてはいるし、、配慮知らずって程でもないってことだろうか? 「い、委員長!猫、猫を捕まえてきたんやけど、その、猫は副会長サマが良からしくて、えっと、連れてきてもらったとやけど…」  委員長の顔をチラチラと様子を見ながら報告する西村。シュンとした耳と尻尾が見える気がするのは、ケントとは違った、後輩ワンコ系のなせる技なんだろうな。 「坂本が?」  そう言ってこっちを見てくる委員長にペコっと会釈で返す。会いたくなかったけどね〜 「ソレには首輪は着いているのか?」 「ソレって…酷い言い方しますね。  首輪は着いていないみたいですよ。ただ、かなり汚れていて、、長い間外にいたと思われる割には、怪我や病気などはしてないように見えますが…」 「そうか。でも念のため、後で診てもらおう」  話していてふと気がついた。風紀委員室にはいつも慌ただしくしている、たくさんの委員の姿が見えない。いつも人手不足だと嘆いていたのに、どうしたのだろう?ついに委員長からのパワハラに耐えきれなくなって、辞めでもしたのか? 「人をバカにした顔をしているな。いつも通りで何よりだ」 「人がいつもより少ないですが、何かあったんですか?汐里先輩もいないのは珍しいですね」 「ああ、今はたまたま出払っててな。夕方までには帰ってくる」 「そうなんですか。…あの、この猫はどうしたらいいですか?」  未だに腕の中にいる猫を見る。まだスヤスヤと眠っていて、居心地も良さそうだ。委員長はこの猫をどうするつもりなのだろう? 「ああ、ソイツか。おい、西村。ソイツ洗ってこい」 「あいあいさー!」  様子を伺うようにしてやり取りを聞いていた西村は、委員長からの命令に元気よく返事し、駆け寄ってくる。さっきのオドオドはどうした? 「あ!この猫ちゃん、副会長サマにしか懐かんとやったなぁ〜…。委員長!副会長サマも借りてよか??」 「かまわん」 「人を勝手に貸し借りしないでくれます?」  西村が案内する方について行く。ちなみに、前きた取調室とはまた違う部屋だ。服や、身体の汚れを洗う部屋っていうのかな?まぁ風紀の担当する仕事といえば…で、理解してくれい。
/91ページ

最初のコメントを投稿しよう!

212人が本棚に入れています
本棚に追加