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理事長室前に来た。相変わらずの豪華さに、目がチカチカする。
この学園あるあるだな。無駄なところに金をかけすぎている。
でかすぎる扉をノックすれば、中から「はい」と返ってくる。
「副会長の坂本です」
「あぁ坂本くんか、入りなさい」
「失礼します」
重い扉を開けると、いかにもな椅子に座り、こちらを向いた理事長と目が合う。
理事長はいつ見ても若々しいが、威厳、と言うのか?をかなり感じる。歳は30はいってるはずなのに、全然衰えを感じない。大学生と言っても通用…は、しないか、流石に。
とは言え、子供がアレなら親もイケメンか。
「それで理事長、用というのは…?」
「あぁ、浅緋くんから聞いたと思うけど、
明日、転校生が来る 」
………は???
おいおいおいおい、聞いてない聞いてない。
くっそ、あんのば会長、面倒くさくて伝えてなかったな。いや、アレのことだ。絶対、忘れてるだけだ。だからば会長なんだよ、馬鹿が。
すーーーっ、ふーーーーー、、、よし
「理事長、あの、転校生とは…?」
「その様子じゃあ、聞いてなかったみたいだね。ははは、そう言えば彼にはそういうところがあったね。
そう、転校生が来るんだよ。私の知り合いの子でね、前の学校で上手くいかなかったらしく、ウチが引き取ることになったんだ」
「どうしてわざわざ私を呼んでまでそれを?」
「いや〜坂本くんにお迎えに行ってもらおうと思ってね。あ、もちろん、門のところまでだよ」
ニコニコとしたいい微笑みで理事長は言う。
「君ならいきなり手を出すなんて事もないだろうし、何より頼りになるからね。頼まれてくれるかい?」
「わかりました。私でよければ」
「よかった、ありがとう。じゃあお願いするよ」
もう終わったかな?と思いつつ、理事長室から出ようと足を踏み出そうとする。と、
「そうそう、坂本くんはこの学園にはもう慣れたかい?」
「まぁ、約4年もここで生活すればだいたいのことには慣れましたね。まだ慣れないものもありますけど…」
「そうか、ならよかったよ」
理事長は嬉しそうに笑っている。この理事長の穏やかな笑顔にはつい気も緩んでしまう。こ、これがアルカイックスマイル!?
あと、前々から思っていたが、とてもフレンドリーな方なんだなと改めて思った。多分、まだ帰れないだろうな…
「浅緋くんとは上手くやっているみたいだね。トップが仲がいいと、私としても嬉しいよ」
「そう、ですかね…」
「ま、浅緋くんは相変わらずみたいだけど。だいぶ彼に振り回されてそうだね。
でも、先程の坂本くんはあまり見れない姿で新鮮だったよ」
「お恥ずかしいです…」
やーめろー!ニコニコした顔で俺の心を抉るなぁ!
「そうだ、坂本くん、学園生活に何か不満はないかい?」
「不満、ですか…」
「なんでもいいよ。愚痴でもかまわないからさ」
なんか、ウキウキしてる…なんだろ、あれ、女子が恋バナするときみたいなワクワク感持ってる。この理事長…
「強いて言うなら、担任、ですかね…」
「城崎くんがどうかしたのかい?」
「えっと、少し自由、というか…」
「あぁなるほど!きっと彼のことだ。授業を自習にしたりしているんだろう?あと、口調も少々荒いからなぁ」
いや、把握してんのかよ。口調も少々どころじゃないだろ。いや、掴めねぇこの理事長。
「授業については注意しておくよ。口調については、まあ、多めに見てやってくれないかな」
「はぁ、、」
「ちなみに、彼はここのOBで元生徒会会計だったんだよ」
「えっ、」
なんっ、だと……!?
「理事長、お電話です」
理事長室に隣接する部屋に通じる扉が開き、執事?のような人が電話を持って出てくる。
「おや、少し引き留めてしまったね。もう戻っても大丈夫だよ」
「わかりました」
「失礼しました」と言い、理事長室を出る。
いやいやいや、気になるだろ!?
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