はじめの一歩♪明日に一歩♪

5/11
前へ
/91ページ
次へ
 理事長室前に来た。相変わらずの豪華さに、目がチカチカする。  この学園あるあるだな。無駄なところに金をかけすぎている。  でかすぎる扉をノックすれば、中から「はい」と返ってくる。 「副会長の坂本です」 「あぁ坂本くんか、入りなさい」 「失礼します」  重い扉を開けると、いかにもな椅子に座り、こちらを向いた理事長と目が合う。  理事長はいつ見ても若々しいが、威厳、と言うのか?をかなり感じる。歳は30はいってるはずなのに、全然衰えを感じない。大学生と言っても通用…は、しないか、流石に。  とは言え、子供がアレなら親もイケメンか。 「それで理事長、用というのは…?」 「あぁ、浅緋(あさひ)くんから聞いたと思うけど、    明日、転校生が来る   」  ………は???  おいおいおいおい、聞いてない聞いてない。 くっそ、あんのば会長、面倒くさくて伝えてなかったな。いや、アレのことだ。絶対、忘れてるだけだ。だからば会長なんだよ、馬鹿が。  すーーーっ、ふーーーーー、、、よし 「理事長、あの、転校生とは…?」 「その様子じゃあ、聞いてなかったみたいだね。ははは、そう言えば彼にはそういうところがあったね。  そう、転校生が来るんだよ。私の知り合いの子でね、前の学校で上手くいかなかったらしく、ウチが引き取ることになったんだ」 「どうしてわざわざ私を呼んでまでそれを?」 「いや〜坂本くんにお迎えに行ってもらおうと思ってね。あ、もちろん、門のところまでだよ」  ニコニコとしたいい微笑みで理事長は言う。 「君ならいきなり手を出すなんて事もないだろうし、何より頼りになるからね。頼まれてくれるかい?」 「わかりました。私でよければ」 「よかった、ありがとう。じゃあお願いするよ」  もう終わったかな?と思いつつ、理事長室から出ようと足を踏み出そうとする。と、 「そうそう、坂本くんはこの学園にはもう慣れたかい?」 「まぁ、約4年もここで生活すればだいたいのことには慣れましたね。まだ慣れないものもありますけど…」 「そうか、ならよかったよ」  理事長は嬉しそうに笑っている。この理事長の穏やかな笑顔にはつい気も緩んでしまう。こ、これがアルカイックスマイル!?  あと、前々から思っていたが、とてもフレンドリーな方なんだなと改めて思った。多分、まだ帰れないだろうな… 「浅緋くんとは上手くやっているみたいだね。トップが仲がいいと、私としても嬉しいよ」 「そう、ですかね…」 「ま、浅緋くんは相変わらずみたいだけど。だいぶ彼に振り回されてそうだね。  でも、先程の坂本くんはあまり見れない姿で新鮮だったよ」 「お恥ずかしいです…」  やーめろー!ニコニコした顔で俺の心を抉るなぁ! 「そうだ、坂本くん、学園生活に何か不満はないかい?」 「不満、ですか…」 「なんでもいいよ。愚痴でもかまわないからさ」  なんか、ウキウキしてる…なんだろ、あれ、女子が恋バナするときみたいなワクワク感持ってる。この理事長… 「強いて言うなら、担任、ですかね…」 「城崎くんがどうかしたのかい?」 「えっと、少し自由、というか…」 「あぁなるほど!きっと彼のことだ。授業を自習にしたりしているんだろう?あと、口調も少々荒いからなぁ」  いや、把握してんのかよ。口調も少々どころじゃないだろ。いや、掴めねぇこの理事長。 「授業については注意しておくよ。口調については、まあ、多めに見てやってくれないかな」 「はぁ、、」 「ちなみに、彼はここのOBで元生徒会会計だったんだよ」 「えっ、」  なんっ、だと……!? 「理事長、お電話です」  理事長室に隣接する部屋に通じる扉が開き、執事?のような人が電話を持って出てくる。 「おや、少し引き留めてしまったね。もう戻っても大丈夫だよ」 「わかりました」  「失礼しました」と言い、理事長室を出る。  いやいやいや、気になるだろ!?
/91ページ

最初のコメントを投稿しよう!

211人が本棚に入れています
本棚に追加