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画面を引いて良く見ると、そこは神社の本殿だった。固く扉は閉ざされているが、その入口に掛かっているカーテンのような垂れ幕にその図形が描かれていた。
しかし社長の部屋の床に描かれていたものとはちょっと違う。社長の部屋のものは一筆書きの星だった。これは一筆書きでは描けない。
「マイ、これって神社の家紋みたいなもの?」
「神紋っていうんだけど、まあ家紋みたいなものね」
「でもこの模様……魔法陣だよね?」
「外国ではそうかもしれないけど、これはれっきとした魔除けの紋章。籠目紋よ」
「籠目紋?」
「"六芒星"とも呼ばれているわね。上向きの三角と下向きの三角を重ね合わせたものよ。言っとくけどね、これも一筆書きできるのよ」
「噓!」
「一筆書きできる図形は結界となってその中には悪魔が入ってこられない。だから魔除けになるの」
え、これをどうやって一筆書きするの? え〜〜?
「まあそれは宿題にしとくわ。それに加えて交差する点が多いでしょ。それが"目"に見えるから悪いモノは近寄れない。魔除けとしては結構な優れものよ」
「じゃあ桜の家の神社は魔除けの神社?」
「さあね。魔除けのご利益があればもっと参拝客も多いと思うけどね」
結局夜なので桜は自宅にいるらしく特に手掛かりは掴めなかった。まさか部屋を覗きに行くわけにもいかない。なので神社の偵察は終了した。
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