特命お天気お姉さん誕生!

2/4
216人が本棚に入れています
本棚に追加
/468ページ
「キュ〜ちゃん臭い〜!」 「だって今第3スタジオのお化け食べてきたんだもん」 「う〜……ヨシヨシ、良くデキマシタ」  私は鼻をつまんで我が眷属、河童のキュ〜ちゃんを褒め称えた。キュ〜ちゃんは幽霊や妖怪を食べてくれる。しかし食べると息が臭くなる。濡れたまま放置した雑巾と、独身男性一人暮らしのキッチンの排水溝と、真夏に1週間履き続けた靴下と、それからそれから、ありとあらゆる不快なものを混ぜ合わせたような臭いだ。 「でも今日は一段と臭いね」 「オッサンの集団だった」 「う〜ん、幽霊になっても身だしなみには気をつけてもらいたいわよね」  そう、私は社長からの特命をキュ〜ちゃんに丸投げし、自分の手は一切汚さず特別手当てだけ貰っているのだ。いやもちろんキュ〜ちゃんへはキュウリだの季節のフルーツだのを買ってあげている。決して搾取ではない……。 「愛ちゃんお疲れ様!」 「あ、お疲れ様でした」  プロデューサーの雨宮(あまみや)が声を掛けてきた。
/468ページ

最初のコメントを投稿しよう!