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「キュ〜ちゃん臭い〜!」
「だって今第3スタジオのお化け食べてきたんだもん」
「う〜……ヨシヨシ、良くデキマシタ」
私は鼻をつまんで我が眷属、河童のキュ〜ちゃんを褒め称えた。キュ〜ちゃんは幽霊や妖怪を食べてくれる。しかし食べると息が臭くなる。濡れたまま放置した雑巾と、独身男性一人暮らしのキッチンの排水溝と、真夏に1週間履き続けた靴下と、それからそれから、ありとあらゆる不快なものを混ぜ合わせたような臭いだ。
「でも今日は一段と臭いね」
「オッサンの集団だった」
「う〜ん、幽霊になっても身だしなみには気をつけてもらいたいわよね」
そう、私は社長からの特命をキュ〜ちゃんに丸投げし、自分の手は一切汚さず特別手当てだけ貰っているのだ。いやもちろんキュ〜ちゃんへはキュウリだの季節のフルーツだのを買ってあげている。決して搾取ではない……。
「愛ちゃんお疲れ様!」
「あ、お疲れ様でした」
プロデューサーの雨宮が声を掛けてきた。
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