エベレストにて

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「愛だって最後に喜びたいんでしょ? だったらみんなと一緒。悩みや希望に大小はないよ。それは全て正解」  大小はない、全て正解……。じゃあ嘘を言って先輩を婿にしても正解なの? 恨みを晴らすのも正解なの? 「それで最後に喜べたらね……」  先輩を悩ませても喜べるなら桜はそういう人間。そういう人間にとっては正解なのだろう。でも罪の意識で喜べなかったとしたら、苦しむとしたら、それは間違いなのだ。 「なるほど、分かった。最後に笑って成仏できたら正解って事なんだね」 「そうよ」 「窓ガラスのオジサンも同じ事言ってたな」 「あんな下品なオヤジと一緒にしないでよ!」  マイは眉を釣り上げた。その眉には真っ白な霜が付いていた。マイも寒いのだろう。私の修行のためにマイも寒い思いをしている。  「帰ろうか」 「そうね」  大きな朝日に見送られ、私は自分の体へと戻った。
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