考えを読む

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「免許かぁ」 「免許取って車買えば電車に乗らなくてすむよ」 「そうだね。声かけられなくてすむね」 「アクビしても歌歌っても誰にも気づかれないよ」 「光は車持ってるの?」 「……ない。事務所から運転はするなって言われてる」 「だよね〜。光が事故起こしたら大騒ぎになるもんね」 「何で俺が加害者なんだよ。ぶつけられて怪我したら困るからだろ」 「稼ぎ頭だからねー」  でも車があれば何処へでも自由に行ける。化粧しなくても変装しなくても出掛けられる。お休みの日に先輩の所へも……。いいかも! 「車の事なら何でも聞いてよ」 「セイラ!」  今は講義中。セイラは学年1つ下。なのに何故? 「せっかく来たのに急に休講になっちゃって。ブラブラしてたら愛ちゃんの声が聞こえてきたから」 「え? 私そんなに大きな声で喋ってた?」 「愛ちゃんの頭の中の声」  そうか。セイラはトラピスト星人だった。他人の考えが分かる宇宙人だっけ。
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