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私は速攻スマホを手に取った。
「もしもし師匠! 却下です! チェンジお願いします!!」
毛瀬に四六時中付いて歩かれるなんてまっぴらだ。それに何の能力もない。腕力だってありそうにない。毛瀬が私を守れるわけがない。
「何で毛瀬なんですか!? え? 毛瀬は除霊できる? 嘘! いつの間に?」
ジョニーズのレッスンはそんな事を教えているのか?
「あ……」
毛瀬はパステルオレンジのマリンステッキをクルクル回していた。このマリンステッキ、可愛い顔して超優れものなのだ。
我らオカサーの顧問の故郷の星では幽霊退治をするテクノロジーが確立されており、一家に一台、幽霊を退治する装置があるそうだ。幽霊は蚊や蝿と同じ扱いらしい。その原理を教えてもらい、工学部のセイラが作り上げた逸品、それがマリンステッキだ。
ボタンを押して一振りすると、あ〜ら不思議。たちまち幽霊は消滅してしまう、らしい。
「でも毛瀬は視えない人。どうやって使うの?」
『愛が視えるからいいでしょ?』
「ええ〜」
『じゃあ頑張ってね』
「え、師匠、師匠!」
電話は切れた。毛瀬はステッキを振り回し踊っている。とてもキレがある。さすがジョニーズ、じゃなくて。
「ヲタク、そろそろ仕事に行く時間じゃないの?」
アンタに言われなくても分かってるわ! いまいち納得できないが、光に別れを告げ仕事へと向かった。
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