付き人 毛瀬

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付き人 毛瀬

「明日のお天気は全般的に晴れですが、昼頃雨の地域もありそうです。もしかしたら雷雨になるかもしれません」  不安定なお天気の予報。そりゃ不安定にもなる。毛瀬が私の付き人なんて青天の霹靂だ。 「さあ、終わったらさっさと帰ろうよ。明日は大学へ行くの?」 「うん」 「じゃあ明日は大学で落ち合おう」 「うん……」 「会えなかったら困るから電話番号教えてよ」 「え!」  毛瀬に電話番号を教えるだと? 嫌だ。嫌だけど付き人なら仕方がない。私は渋々教えた。そしてちょっと待っててと何処かへいってしまった。暫くするとピンクの軽自動車が私の前に停まった。 「送ってくよ。乗って」 「え!」  毛瀬は運転できるのか! 車を持っているのか! 信じられない! 「大丈夫なの?」 「安全運転するから大丈夫」  恐る恐る車に乗り込む。すると当然の事ながらカーステレオからはマリンちゃんの歌が流れていた。 「ラブラブミンキーマリン〜♪ 願い事叶うかな〜♪」  顔に似合わない美しい毛瀬の歌声を聞きながら車は私のマンションへと向かった。
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