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「失礼します、栗本です」
私は社長の部屋に入った。さあ今日は何の用だ!?
「ああ、お疲れのところすまないね。まあ掛けなさい」
社長は笑顔だった。私は社長にすすめられソファに腰を下ろした。
「企画が上がって来たから見てもらいたいんだ」
「企画?」
「うん、夏の心霊特番だよ」
そう言えばそんな話があったっけ。
社長はテーブルの上の企画書を開いた。
『恐怖! スタジオに幽霊が大集合!?』
ベタだ。でも興味はひきそうだ。
「出演者たちは大丈夫なんだよね?」
「はい。みなさん楽しみにしています」
私が出演交渉をした幽霊さんたちはみんなテレビに出るのを楽しみにしている。何を着ようか、どんな髪型にしようかと悩んでいるほどだ。
「そうですか。しかし栗本さんや霊能力者には視えるけど、一般視聴者には視えない。このままだと"ヤラセ"だなんだと苦情が来るかもしれない」
「まあ、そうですよね」
「で、もうひとつ栗本さんにお願いがあるんだ。ほら、なんて言ったっけ。幽霊に乗り移られやすい体質の人」
「憑依体質ですか?」
「そうそう! そういう人を見つけて来て欲しいんだ。それで幽霊の2、3人に乗り移られて話をして欲しいんだ。誰か知り合いにいないかなあ」
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