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拍手が起こった。こんなつまらない私の言葉さえ有り難く聞いてもらえた。肩書ってスゲー。
生徒たちの尊敬の眼差しに見送られ、私は鮪子さんとスタッフルームへ入った。
「実はお願いがあるんです」
「なあに?」
「テレビに出演してもらいたいんです」
「テレビに!?」
「はい。それもイタコとして」
私は鮪子さんに出演交渉をした。代々受け継がれしイタコの血を引いている鮪子さん。鮪子さんも憑依体質だ。社長の依頼にピッタリじゃないか。
「いいよ。一度テレビに出てみたかったんだ! 故郷の親戚や友だちに私の姿を見せたい!」
鮪子さんは快諾してくれた。これで心霊特番はバッチリだ。そして本番に幽霊さんの魂を降ろしてもらおう。幽霊さんが何を語ってくれるのか、今から楽しみだ。
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