心霊特番

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「名札って安全ピン? 私一張羅着てくるつもりなんだけど、穴が開くのは嫌だわ」 「首から下げられるようになってますから大丈夫です」 「首……。拙者打首にされたんで首がないんだが」 「……じゃあ手で持っててください」 「本番はどんなカッコしてくればいいの?」 「スタイリストは付くの?」 「テレビ出演するって子孫に教えたいんだけど方法はあるかなあ」  みんなで私を質問攻めにした。順番に並んでと言っても割り込むヤツもいる。しまいにはスタジオ内の大道具小道具が宙を舞い始めた。 「みなさん並んでください! 質問は名前を伺う時に聞きますから。あとポルターガイストは禁止です。今日も本番の時もです!」  幽霊も30人集まるとかしましい。まさに騒霊(ポルターガイスト)。初めてテレビに出る高揚感は分かるけど大人なんだからもう少し落ち着いてもらいたいものだ。  「まあまあお嬢さん、そんな堅い事言わないであげてください。皆さん久しぶりの晴れ舞台で張り切ってるんですから」  英国紳士を思わせる、シルクハットを被り鼻の下にヒゲをたくわえた男性が私をたしなめた。
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