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一人一人名前を聞き、名札を書いた。途中字が汚いだの、漢字が違うと旧漢字を書かせられたりとさんざん文句を言われた。
「お名前教えてください」
そして残すところあとひとり。最後の幽霊さんは面倒くさい老紳士だった。
「私は風呂糸と申します」
「は? それは苗字ですか? 名前ですか?」
「苗字が"風呂"で名前が"糸"です」
面倒くさい名前だなあと思いながら私は名札に"風呂糸"と書いた。
「おや、先程字が汚いなどと言われてましたが、どうして中々お上手じゃないですか」
「ありがとうございます。写経を少々嗜んでおりますので」
「なるほど。さすが霊能力者さんだ」
風呂糸さんは私の字をみて満足気に微笑んだ。
「もしかして風呂糸さんは心理学を学ばれているんですか?」
「おや、分かりましたか? さすが霊能力者さんだ」
いや、分かり易すぎる名前だろ。
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