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「大学で心理学を教えていました。数冊ですが本も出しています」
「教授でしたか。それは失礼いたしました」
「いえ、過去の栄光ですよ」
老紳士は寂しげに微笑んだ。
全員の名札を書き終えた。そして書きながら軽く生前の様子も聞くことができた。
「みなさんお疲れ様でした。では本番の段取りについて説明します」
番組前半は世界の心霊現象VTRを放映する。本物か偽物かは不明だが。
そして後半、ここからが幽霊さんたちの出番だ。
本番では幽霊さんたちへのインタビューを行う。質問に対し幽霊さんたちは答えをパソコンに入力する。そのパソコン画面をスタジオの巨大スクリーンに映し出す。現代版自動書記といったところだ。幽霊は電子機器との相性が良い。それにポルターガイストを起こせるほど物理的に力を発揮できる奴らだ。キーボードくらい簡単に押せるだろう。キーボード操作は本番までに練習してきてもらうようにお願いした。
そしてメインイベント。イタコである鮪子さんが幽霊さんを自分に憑依させ、幽霊さんの言葉を全国のお茶の間に届けるのだ。しかし全員を憑依させるわけにはいかない。せいぜい3人までと言われた。それ以上憑依させると体も精神もズタボロになってしまうそうだ。
その3人の決定権は私にあった。そして1人はもう決まっている。華さんだ。何とかして鮪子さんに呼んでもらいたい。
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