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残りの2人なのだが、どうせみんなやりたがる。なのでなるべく鮪子さんの負担にならないような穏やかな人にしようと思う。1人はスタジオの隅っこでモジモジしているお婆さんにしよう。そしてもう1人は……。
紳士で話も得意そうな風呂糸教授かなぁ、やっぱり。
そしてラストの大イベント! 陰陽師による集団成仏祈祷だ。その祈祷は桜が行う。社長が桜を売り出すための作戦だ。今回の特番には幽霊の視える芸能人も数人来る。その芸能人たちが見届人となる。全員成仏させられなかったとしてもできた事にしてエンディングになる。
「という流れになります」
ひと通り流れを説明した。
「いや、ワシはまだ成仏したくない」
「私ももう少しこの世にいたいわ……」
当然そう言われる事は想定していた。確かに強制的に全員成仏させるというのは個人……いや故人の基本的人権の侵害だ。まあ生きてないので憲法の適応外だろうけど。
「そこらへんは皆さんの自由で構いません。ただ祈祷の後はスタジオから消えてください」
「それ、ヤラセじゃねえか」
「演出です」
「まあテレビ局に何年もいるからそんな現場は何回も見てきた。俺たちもエキストラとして立派に勤め上げようぜ」
「そうだなぁ」
全員ヤラセ上等でやる気満々、成仏しようなんて奴はひとりもいなかった。
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