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「でもせっかくの機会なので成仏してはいかがですか?」
「私は松様に会うまで成仏しません!」
「松様?」
「松優太郎よ! 彼の流し目は一世を風靡したのよ。国際的なボランティアとかもやってて尊敬できる俳優よ」
「演歌歌手と再婚したんだよな?」
「そうそう。お似合いよね」
知らんがな。
「まあ成仏するしないはご自由にどうぞ。ただこのままでいると遠からず皆さんは悪霊になります。そうしたら極楽には行けません。その時はこの河童に食べられて地獄行きですのでご了承ください」
私の言葉にスタジオはざわめいた。
「河童に食べられるって、痛いのか?」
「勿論。鋭い牙で噛まれます」
「え〜……」
「今成仏すれぱ極楽に行けるんですか?」
「はい。有り難いお経とともにお送りさせていただきます」
「で、でも必ず悪霊になるわけじゃないよね?」
「いえ、必ずなります。本人がなりたくなくても悪霊に取り込まれ悪霊になります」
なら成仏しようか、そろそろ潮時かもと幽霊たちは口にし始めた。
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