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「お父様、休まれてるんじゃないですか?」
「どうかしら。仕事はみんな私に押し付けて昼寝ばかりしてるから。……あ、きっと体調が良くないのかもしれないわ」
「じゃあ静かにしなきゃ」
その時奥から扉が開く音がした。
「桜お帰り。陰陽師殿も一緒かな? え……」
にこにこ顔で出てきたお父さんだったが、私と毛瀬を見て目が点になった。
「と、突然お邪魔してしまい申し訳ありません。えっと……栗本愛です」
「伊集院ヨハネです!」
「えっと、どちら様かな?」
「ほら、今度の特番で幽霊の担当をしている栗本さん。お天気お姉さんの」
「……ほお、あなたが栗本さんですか……」
お父さんの目がギラリと光った。娘の恋路を邪魔する憎い奴と言いたげに。やっぱり来るんじゃなかった……いや、先輩を守るために耐えるんだ!
「いや……陰陽師殿だけ来ると聞いていたので料理は3人分しかなくて……。困ったなあ」
扉の向こうは茶の間だった。テーブルの上には大きめの寿司桶にぎっしりと寿司が乗っていた。そしてビールに焼酎。先輩を酔わせる気だったな……。
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