218人が本棚に入れています
本棚に追加
「お父さん休まれましたよ」
沈黙を破ってくれたのは先輩だった。
「毛瀬は?」
「お父さんを癒やすんだと付き添ってます」
「ほお〜」
「でも、あの方本当に癒せるんですか?」
「はい。癒やしに関しては天下一品です。ジョニーズのアイドルたちが集団で倒れた時毛瀬とキュ〜ちゃんで助けたんです」
「キュ〜ちゃんて、その河童ですよね。良くうちの敷地に入れましたね。一応結界を張ってあるのに」
「そう言えば! 眷属だから私と一心同体なのかな?」
「でも物の怪は遠慮してもらいたいわ」
「まあ、そうですね。キュ〜ちゃんとパー子は家に帰ってて」
「え〜、俺たちは愛の眷属だぞ」
「まあまあ、何かあったら呼ぶから」
「何かあったらってどういう意味です? 神社で何かあるわけないじゃないですか」
「あ、失礼しました。そうですよね。神社は神聖な場所。嘘も偽りもあるわけないですよね〜」
「……何の事かしら?」
「え? 何がです?」
「それを言うなら愛さんだって"ヤラセ"の片棒を担ごうとしてるんじゃないんですか? 幽霊たちが成仏しようがしまいが、番組最後にはスタジオから出して全員成仏しました、めでたしめでたし。って筋書きだそうですね」
「幽霊さんにも人権があるので成仏するもしないも故人の自由ですから」
「死は穢れなんだから成仏するのがいいに決まってます」
私と桜の間に火花が散った!
最初のコメントを投稿しよう!