神社の夜

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「先輩!」  先輩がいない! 他人の家をウロウロするような人じゃない。だとしたら何処へ!? 「どうしたの愛さん。何を慌ててるの?」 「先輩は何処? 先輩に何したの?」 「え? 知らないわよ。私はずっと愛さんと一緒だったじゃない」 「じゃあ、お父さんだ。お父さんが先輩を……!」 「何でお父さんが大和を? 愛さん何を考えてるの?」 「だってこの神社は蘆屋道満が主祭神なんでしょ? 仇の清明の後継者である先輩をどうにかしようとしてるんでしょ?」 「……愛さん、何処まで知ってるの?」  桜の顔付きが変わった。美人が睨むと迫力があって怖い。でも怯んでなんていられない。 「全部分かってる。お父さんの仮病の事も、先輩を騙して婿入りさせようとしている事も!」 「……それから?」 「それから……って、まだあるの?」 「さあ……」  どうする? 霊感全開にするか、それとも舌戦で桜と争うか。勝てる自信がない。ならば霊感を……。 「愛さん、ここは私の家。人の家で暴れるような事、しないわよね」  う……確かにそんな事したら非常識だ。先輩に知られたら呆れられてしまう。
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