神社の夜

14/19
前へ
/468ページ
次へ
「お、落ち着きましょう。そんなに広くない家なんだから探しましょう」 「そ、そうですね」  桜も本当に知らないらしくアタフタしていた。演技ではないようだ。  玄関を見てみた。先輩の靴はあった。客間に行った。誰もいなかった。お風呂も見たがいなかった。まさかと思って桜の部屋へも行ったが当然の事ながらいなかった。残るは……。 「お父さん、入るわよ」  桜がお父さんの寝室の扉を開けた。 「……!」  お父さんは布団で寝ていた。そしてその傍らに寄り添うように先輩も寝ていた。その枕元で毛瀬が手を合わせ祈祷文を口ずさんでいた。 「おお……」  毛瀬の背後には聖ヨハネ様、そして3人を覆うように大きな羽を広げる天使様が。  私と桜はあまりの神々しい光景に手を合わせずにはいられなかった。
/468ページ

最初のコメントを投稿しよう!

218人が本棚に入れています
本棚に追加