神社の夜

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「愛さん運ぶの手伝ってくださる?」  お勝手から桜が声を掛けてきた。朝食の準備ができたようだ。私はお勝手に入った。 「え、これみんな桜さんが?」  ご飯と味噌汁は当たり前。煮物に焼き魚、漬物までが用意されていた。 「簡単なものしか用意できなかったけど」  いやいや、いつから起きてるんだ? 5人分の食事を用意するなんて私はしたことがない。それ以前に味噌汁なんて中学の調理実習に作っただけで普段はお湯を注ぐだけの物しか作った事がない。  ……負けてる。  桜に言われるがまま、私は料理を運んだ。みんながテーブルにつき食べ始めた。 「まさに日本の朝食って感じだね。美味しいよ」  先輩が桜を褒めた。確かに美味しかった。漬物も浅漬けだが自分で漬けたものだ。いつの間に漬けたんだ? 「おかわりー」  毛瀬は空の茶碗を差し出した。褒めなくてもおかわりをするのは美味しいと言っているのも一緒。毛瀬も桜に胃袋を掴まれたか!?  ふと見ると桜は綺麗に髪をまとめ薄化粧さえしていた。いつの間に……。早起きしたのだろう。霊能力だけでなく女としても負けている。悔しい……。
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