神社の夜

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 後片付けは進んでやらせてもらった。一宿一飯の恩義だ。これくらいやらなきゃ女として立つ瀬がない。  その後私と毛瀬は大学に行くので先に出ることになった。 「先輩はどうするんですか? まさかもう一泊……」 「ううん。お昼の電車で帰るよ」  それは一安心。 「桜さんと一緒に」  それはがっかり……。 「向こうで最終的な打ち合わせをするんだ。叔父さんに指導してもらってね」  いくら桜に能力があるとはいえ、まだまだ修行の身。プロの指導は必要不可欠。 「頑張ってください。気を付けて」 「愛ちゃんもね」 「桜さんも、色々お世話になりました。ご馳走さまでした」  不本意ながら桜に頭を下げ家を出た。境内の雰囲気はとても清々しく、夕べの空気とは一変していた。  これでしばらく先輩とはお別れだ。今度会うのは特番の本番の時だろう。それまで私は会えないというのに桜とは毎日一緒とは。悔しいが仕方がない。それまでに一層磨きをかけて修行に打ち込もう。女としても、だ。
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