通り魔事件勃発!

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 その時エベレストの真っ白な風景が思い浮かんだ。私はたくさんの人を成仏させた。そうか。私は成仏させるのが得意だ! 多分。ならばその得意分野を強化すればいいのだ。よし、それで行こう!  成仏の仕方が分からない人、成仏したくない人。誰でも成仏させられる霊能力者になろう。 「うん、ありがとう毛瀬」 「え? 僕何かした?」 「ん? まあね」 「何かあったら僕に言えばいいよ。だって僕は愛の下僕だから」 「はあ?」 「あれ、忘れちゃった?」  あ、そう言えば前にマリンちゃんの映画のチケットをあげた時「下僕と呼んでくれ!」と言ってたっけ。私はすっかり忘れてたのに毛瀬は覚えていたのか。義理堅いヤツだったんだ。  私はシートに思い切り体重を預けた。 「うむ、苦しゅうない。私を送るが良いぞ」 「なんだそれ」  安心したら眠くなってきた。私はいつの間にか夢の世界に入っていたのだった。
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