心霊特番

5/10
前へ
/468ページ
次へ
「ふ〜ん。そういう事」  光は先輩に気がついた。そして先輩が女連れである事も。 「彼女?」 「違う! 最後に幽霊たちを成仏させる役の陰陽師よ」 「じゃあアイツの同業者か」 「兄弟子だってさ。ついでにここの社長の姪っ子。だから美味しい役やらせてもらうの」  とにかく悔しくてたまらない。今夜のヒロインに抜擢され、先輩を従え、私のやりたい事をみんなさらっていってしまったのだ。 「で愛はヤキモチ焼いてるってわけか」 「ヤキモチなんて……焦げすぎて炭になってるわよ」  嫉妬の炎は燃え盛っている。 「言っとくけど、あんな小娘俺とセイラがいればいくらでも食う事はできるぞ」 「食う? え……食べちゃうの?」 「なわけないだろ」  ボカッと光が私の頭を叩いた。 「芝居やドラマで脇役の方が主役よりいい演技をして目立つ事だ」  あ……それ「ガラスのお面」でもあった。漫画の主人公がお芝居で主役よりいい演技をして主役の面目を潰してしまった。確かその後先生に怒られて、次のお芝居では人形の役を演らされたんだっけ。
/468ページ

最初のコメントを投稿しよう!

217人が本棚に入れています
本棚に追加