心霊特番

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「みなさまお忙しい中お集まり頂きましてありがとうございます」  私が挨拶すると「全然忙しくないぞ」「100年待ったぞ」などと野次が飛んだ。 「本番中は私語は謹んでください」  私が注意すると「もう死後だぞ〜」「そんな冗談死語よ〜」などと茶々が入った。  うるせぇこの野郎黙りやがれと言いたいところをグッとこらえ、私は微笑んだ。 「子孫に恥ずかしい姿は見せたくないですよね」  みんな黙った。さすがに先祖の威厳は保ちたいようだ。聞き分けの良い人たちで良かった。 「前半は世界の怪奇現象を放送します。その間は皆さんにカメラは向きませんので気楽にしていてかまいません」 「あの……」  1人の男性幽霊が手を上げた。 「どうぞ」 「途中でポルターガイスト起こしでもいいですか? その方が盛り上がると思いますが」 「きっとそうでしょう。でも台本にない事はしないでください。時間が決まってますから」  番組は分刻みで予定が決まっている。生放送ともなれば時間厳守、台本厳守だ。もしコマーシャルを飛ばしてしまったら大変な事になる。
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