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ひとまずCMになった。セイラは一瞬で涼しい顔に戻りメイクさんを呼び寄せ化粧直しをさせていた。毛瀬はまだ光にしがみついていた。
恐怖映像といっても殆どが合成。実物が映っていたとしてもたまたま映ってしまった通りすがりの霊だ。前半はこのまま何事もなく終わるだろう、そう思っていた。が、が!
「皆様お待たせいたしました。現場はあなたの近所かもしれません。では日本各地から届いた怪奇映像です。どうぞ」
アナウンサーの合図で再び映像が流れ始めた。場所は廃病院。心霊スポットとして話題の場所なのだそうだ。若者たちが懐中電灯を持って病院に入っていく。怖がっているのを隠すため妙に口数の多い若者たち。
ついさっきまで人が寝ていたかのような、布団もそのままのベット。怪しげな器具が並べられている処置室。そして映像は地下へと移動した。突き当りの部屋のドアの上には「霊安室」のプレートが。
「ここはさすがにヤバいだろ。帰ろうぜ」
「怖いのか?」
「そうじゃないけどヤバすぎだろ?」
「じゃあお前らはそこで待ってろ。俺1人で行ってくる」
1人の若者が霊安室の扉を開いた。その瞬間! 中から白い煙が出てきた。しかし若者たちはそれに気づいていない。その煙に気づいたのは私と幽霊さんたちだけだった。
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