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「ほら、何もなかっただろ?」
若者たちは何も起こらなかった事に少々落胆しながら廃病院を後にした。
「え? これで終わりですかぁ? 雰囲気は怖かったけど全然恐怖映像じゃなかったですよ〜」
セイラがちょっとガッカリ、と口を尖らせて感想を漏らした。
「いえ、ここから恐怖が始まったのです……」
映像は若者たちを乗せた車へと切り替わった。「何も出なかったな」などと若者たちは残念そうに、しかしホッとした顔で語り合っていた。その時”ゴン!” と後ろから音がした。
「何の音だ?」
皆が振り返った。すると後ろの窓ガラスいっぱいに無数の手の跡が!
「ヒ〜〜〜!」
毛瀬がまた光に飛びついた。
「みなさん、視えなくても霊に取り憑かれる恐れがあります。くれぐれも心霊スポットなどに軽々しく行かないようにしましょう」
アナウンサーがそう締めくくり、次の映像へと変わった。うん、確かに今のは本物だ。でも悪意はなかった。脅かしただけだろう。
「全くコイツらときたら……人の家に勝手に入ってきやがって!」
1人の幽霊が眉を釣り上げメラメラと怒りのオーラを放ち始めた。
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